「農」でまちをプロデュース ~”こくべジ”プロジェクトの広がり~

「農」でまちをプロデュース ~”こくべジ”プロジェクトの広がり~

Webサイト:http://www.kokuvege.jp/ 

 
「こくベジプロジェクト」とは

「こくベジ」は、国分寺市内の農家による農産物の愛称です。国分寺では、江戸時代に行われた新田開発から300年間、土を育むことを大切にしながら、たくさんの作物が育てられてきました。「こくベジプロジェクト」は、そんな「こくベジ」の魅力をPRし、農と食をつなぐことで、まちの活性化を目指す取り組みです。

 
国分寺の農業

人口12万人ほどの都市である国分寺市。農地面積の割合は東京都内で2番目に多く、街の中に農地が点在しています。少量多品目の生産が特徴で、直売所での販売が盛んに行われています。宅地化による農地の減少や、後継者不足といった課題を抱えていますが、農のある町を盛り上げようと、市民と行政により様々な取組みが行われています。




「こくベジプロジェクト」の仕組み

「こくベジプロジェクト」の発足は2015年。国分寺市による地方創生先行型事業の一環として企画されました。国分寺市役所とプロジェクトの委託企業、そして国分寺に住む有志によって運営されています。農家はもちろん、JAや飲食店、商工会や観光協会も一体となり、地産地食という目標に向けて盛り上がっているのが「こくベジ」の特徴です。

「こくベジプロジェクト」の内容

①「こくベジ」のPR活動
冊子「国分寺じゃらん」、PR動画 、駅に掲示するポスターの制作や、トレインチャンネル動画配信など、様々なメディアでのPR活動が行われています。制作費には地方創生先行型交付金が活用されました。また、国分寺市のWebサイト内では、「国分寺直売所MAP 」が公開されています。

②「こくベジ」の配達
「こくベジ」の配達は、プロジェクトの中でも大きな役割を持っています。農家、野菜、飲食店をつなげるインフラが整っていない状況をなんとかしようと、市民が自主的に配達をスタートしたのが始まりです。配達業務にかなりの時間を取られていた生産者にとって、「こくベジ」の配達は大きな助けとなりました。消費者にとっても、飲食店で新鮮な地域の野菜を食べられるというメリットがあり、配達先は徐々に増えていきました。スタート時には10店舗程度への配達でしたが、現在は100店舗を超える規模となっています。
「こくベジ 出会えるMAP」はこちら 

③こくベジのじかん
「こくベジ」を中心に、ゆっくりした時間を過ごそうというコンセプトで行われているマルシェイベントです。建築家と共同制作した専用の棚を用いて、野菜の直売が行われています。野菜を手に取りやすいように、野菜が魅力的に見えるように、デザインが工夫されています。ライブ演奏やワークショップも行われ、親子連れを含む幅広い世代が参加しています。



④コラボレーション企画
企業や団体とのコラボレーション企画も行われています。2018年にはJA、商工会との共同企画により、市内産トマトの魅力を伝えるイベント「トマトフェスタ2018 ~こくベジトマトの旬を味わう6日間~」が行われました。他にも、日立製作所、無印良品など、多数の企業とコラボレーションを行っています。

誰もがこくベジを育てるプレイヤー

市民が積極的に活動し、市役所、飲食店、商工会、観光協会、企業、NPO、JA、農家など、多くの団体を巻き込んでいる「こくベジプロジェクト」は、次々に新しい展開が生まれています。地場産業活性化のモデルケースとして、今後の展開にも目が離せません。

今回お話をうかがった2人のキーマン

今回は「こくベジプロジェクト」で重要な役割を果たした2人の市民からお話をうかがいました。

南部良太氏:グラフィックデザイナーとして活動していた南部氏は、子どもが生まれたことをきっかけに国分寺に移住。「様々な農業の課題をデザインの力でなんとかしたい」と考え、 ”農業デザイナー”として活躍しています。

中村克之氏:IT企業に18年勤めた後、農業の魅力に目覚め、国分寺の農家となりました。現在は、東京むさし国分寺地区青壮年部長、こくベジプロジェクト会長を務め、国分寺産野菜のブランド化と普及に努めています。2018年にオープンした、農業の魅力を発信する」をテーマとした赤坂見附の複合ビル「東京農村 」のオーナーも務め、東京の農業の魅力発信に貢献しています。