
街路樹など都市の樹木・樹林をテーマとした国際シンポジウム「世界のアーバンフォレスト政策と樹木マネジメント」(主催:(一社)街路樹診断協会)が、東京ビッグサイトにて開催されました。
アーバンフォレストは、気候変動やヒートアイランドを抑制し、生態系や人々の健康を保つ、都市に必須のみどりです。しかし一方で、大径木化や倒木などの危険、土地利用の変化などにより、さまざまな問題も起こっています。
そのような課題に対し、メルボルン市では、2009年頃より、アーバンフォレスト政策を開始。公共の樹木被覆率を2040年までに22%から40%に引き上げるという目標を掲げています。
メルボルン市の政策については、GCT代表の佐藤も、2011年に千葉大学の田代順孝先生と市役所へ行き、ヒアリングを行っています。当時も、将来を見据えた緻密な計画的施策に感嘆しました。
あれから8年が経ち、GISを駆使したマップも完成。驚いたのは、一本一本の樹木にメールアドレスがあり、自分が気になっている木に「手紙」を書いてやり取りできるということ!ハードだけではなく、ソフトの施策もきめ細かくあるからこそ、市民の賛同を得て進めていけるのでしょう。
海外ゲストと国土交通省、東京都、造園会社のみなさんによるパネルディスカッションでは、アーバンフォレストの価値と役割を確認しながら、樹冠の拡大、種の多様性の確保、さらにリスク回避のためのマネジメント手法など、多岐にわたって語られました。
一方、東京には、街路樹や公園の樹木のほか、屋敷林や社寺林、崖線や農用林などが点在し、アーバンフォレストの種類がさらに多様です。こちらでは、何百年も身近にあるみどりが、気候変動や都市災害を防ぐ防波堤として、豊かな生態系を育む場として、暮らしの質を高めてくれてきたことに、あらためて気づかされました。
各国で事情は違っても、抱える課題は同じです。気候変動には、国境はありません。今回のようなシンポジウムは、互いの情報や技術を交換する絶好の機会。主催者、協賛団体のみなさん、企画くださって、ありがとうございます。
*本シンポジウムは、5/22は福岡、24は大阪で開催されます。
http://www.gaishin.com/symposium2019/
*Urban Forest Visual (メルボルン市)
http://melbourneurbanforestvisual.com.au/#about